「これ、灰慈クンにもあげたの?」
勝手に良い人認定していれば、アップルパイの一つを青葉くんが指差した。
「うん。食べてもらったよ。でも、アップルパイって困ったことに、出来たても美味しいけど時間が経ってしっとりしても美味しいんだよね」
「ああ、その言い分だと、チーズケーキも?」
「そうなんですよ。ふわふわのスフレチーズケーキとパンの出来たてを食べないのはもはや罪だよね」
「食べないと島流しにされるね」
「青葉くん、結構な甘党ですね?」
「内緒にしてね」
「うん!青葉くんの試合の前の日にまた作るね!」
「まじで?」
「青葉くんは何が好き?」
何気なく訊ねると、青葉くんの視線がぐるりと宙を舞って私と一度目が合う。
「チョコ系?」
「チョコか!可能性が無限大にあるね!」
勝手に作る楽しみを覚えていると「無限大なんだ」と、青葉くんが笑った。青空の優しさをかき集めたような笑顔だった。



