たった二人いなくなっただけで、まるで最初から二人きりのような空気になってしまう。
それよりも、気になることは他にもあって。
「青葉くん、天くんに用事じゃなかったの?」
友人にランク付けするのは悪いことかもしれないけれど、青葉くんにとって、わたしよりも天くんの方が絶対に仲がいいはずだ。
「んーん、別に用事じゃ……なんか用事あったっけ?」
逆に質問を寄越され、きょとん、とまばたきさせた。
「あたしに聞かれてもわかんないよ」
「うん。だからなんも無い。美味しそうな匂いに釣られたのかも」
「ああ、用事はわたしだったのね」
「久遠寺でした」
ふうん、と頷いた。わたしは話がわかる女なので、そういうことにしてあげる。
「(まつげ長いなあ)」
灰慈くんとどっちが長いだろ。
「久遠寺がお菓子作りまで上手なの、知らなかったな」
ふと、青葉くんと灰慈くんを重ねてしまっていると、青葉くんが意外そうな言葉を落とした。
「我が家は甘党が多いから、なんでもない日に理由をこじつけて、お菓子焼いてプチお祝いしてるんだ。例えば、テスト明け祝いとか」
「テスト明けを祝ってくれるのすげえ良い家族じゃん」
「でしょ?テスト明けは無条件に祝って欲しいよね!」
「わかる。結果も大事だけど、頑張りを一先ず認めて欲しいよね」
青葉くんと価値観を分かち合った。彼は悪い人ではないと確証を得る。サッカー部の甘党に悪い人は居ないってパパも言ってたし。



