練習はこの日から少しずつ始まって、今に至る。
そういえばあの時も、普通に関して灰慈くんは、よく思っていなかったみたい。
「無理だろ無理。妄想でこの状態とか終わってる」
吹き抜けと秋晴れが気持ちの良い非常階段。現実に戻ってくると、すぐさま天くんが嫌味を言った。天くんやお兄ちゃんたち限定で沸点の低いわたしは、すぐに戦闘開始だ。
「終わってないよ!」
むしろ始まってもいない。始まっているのなら、いつ開始されたのか誰か教えて欲しい。
「なーに食べてんの?」
そんな無謀な争いの火蓋が切られようとしていると、別の声が仲裁となった。青葉くんだ。
「燃費悪い男が増えた」と、天くんが嘲笑うと「燃費?」と、青葉くんが首を傾げる。わたしと青葉くんは、燃費が悪い同盟らしい。
「アップルパイ。青葉くんも食べる?」
同盟を組んだならば、仲間におすそ分けせねばならない。
「食べる。これどこで買ったの?RINGO?」
「ううん、わたしの手作り。青葉くんは手づくり系食べれる人?」
「うん。普通に食べれる系」
良かった。うちはお兄ちゃんたちが親族以外の手作りは苦手だけど、青葉くんは大丈夫らしいので安心して包装された一つを手渡す。



