「…朔也くん」
「ん?」
瞼が重たくなってきた。
急に眠たくなることが増えた気がする。
私……疲れてるんだ。
先輩達と会うようになってから、夜は凄く眠たくなる。それぐらい気を使っているんだと思う。
「…眠たくなってきた?」
身体も言葉を発する事すらだるい。
うつらうつらと揺れる身体を、そっと抱きしめてくれた朔也くん。
「歯磨きしてないよ」
「…………う、ん…」
起きないと…。歯磨き…。コップ洗わなきゃ…。
「……しょうがないな」
抱えられたまま立ち上がる。
向かったのは洗面所。
水の流れる音、歯ブラシを取る音。
口の中に指が入ったと思ったら、ねじ込まれた歯ブラシ。
「歯磨き終わるまで、我慢ね」
「ん………ふぁい…」
まるで歯磨きを嫌がる子供に対してやるように、パパっと、そして丁寧に磨いてくれた。
「──────はい、いいよ。あとはベッドに行くだけだから」
お礼、言わないといけないのに…。
ああ…だめ。
身体重い。
「…おやすみ。俺の白雪」
私はゆっくりと瞼を閉じた。


