白雪姫は寵愛されている【完】




だからあのタイミングで同時に手が触れた。

昼休みなら誰もいないだろうと言う昴くんの思惑が…私のせいで違うものになったみたい。



そんな共通点を見つけた昴くんは嬉しそうに”ある事を条件”に、プラス二冊を借りてくれることになった。

昴くんが言うには…華月学園では、チョッキを着用してる人なら二冊も借りられるらしい。凄く羨ましい。



「五巻と六巻。僕が代わりに借りてきましょう。お互いに交換しながら見る事が出来ますし」

「ほ、ほんとうですか!」

「はい…ただし、僕の条件を飲んでくれるのなら」

「は、はい!私に出来る事なら…!」



私の目に移るのは本だけ。
ニヤリと笑みを浮かべた昴くん。



「膝枕をしてください。僕の為に」




────と、流れになる。



勿論戸惑ったし、急に現実に戻った気分にもなった。
だけど私は了承してしまった。

私が読み終わるまで、の約束で。




「…行くぞ、千雪」




手を引かれ、ベンチから腰を上げた。



「あ…、」



凄くいい所だったのに…。
でも引かれたら仕方がない。



「千雪さん。続きは放課後にしてくださいね。そしたら貸しますので」


「あ、ありがとうございます…!」



かなり忙しなくではあったけど、それだけは言えた。