白雪姫は寵愛されている【完】



校門。目の前には大きな黒い車が停車中。


先輩がたまに乗って帰る真っ黒な車。
普段はバイクだけど…今日は車なのだろう。


これに乗って、みんなが言っている朱雀の溜まり場に行くんだと思う。


…ここなら、降ろしてくれるよね…?


私なんかがいける場所じゃないのは素人でも分かる事。

多分嫌がらせか、罰ゲーム…だと思う。



…っ、明日から…どうしよう?これだけ目立ったから…きっともう、空気じゃいられない。……それか、今から。



周りの女生徒達の視線が刺さる。

きっとこの場に置いて行かれた後で、何かあるのかもしれない。それも質問攻めとかじゃなくて、それは……。



───────…あ、れ?



降ろしてもらえると思っていた私。
周りもそう思っていたはず。



…どうして、


……どうして私、


車の中にいるの?



───────バンッ!


閉まったのは車のドア。
そしてゆっくりと発進した。



……え?……どう、し…?私…乗って、?



隣には足を組む先輩。
身体を小さくし、少しでも端による私。



話しかける勇気は皆無。

だって怖いから。だから理由なんて分からない。聞けない。