白雪姫は寵愛されている【完】



────忘れていた。こんな大事な事、どうして忘れていたのか。自分でも理解できない。




学校について早々。


「…っ、私、後で行くので、」



車内。出ようとする先輩が動きを止めた。

生徒達の視線はすべてこの車に刺さっていた。


そうだった…そうでした。
私は今…八神先輩といるんでした。

このまま、一緒に出てしまえば…。



「あの、私の事は…きゃあ!?」

「足が痛いのか?」



シートベルトが外され八神先輩に引き寄せられた。
軽々と、先輩の膝の上に乗せられた。


「あ、あの…!」

「安心しろ。俺が抱える」


そ、そういう事ではなくて…!
そ…それに、とっても近いです!


そのまま降りようとする、先輩を全力で引き留めた。
「大丈夫です!」なんて何度言ったか。

最後は涙目状態の私に、先輩が折れる形で終わった。