「千雪」
返されたスマホ。
さっきまでなかったメッセージアプリが画面に。
先輩がダウンロードしてくれたらしい。
「あの…、」
「俺の連絡先をいれてある」
友だちと書かれた欄に、八神仁の名前だけ。
「アドレスも入れておいた。使いにくい時はメールでも構わない」
…ともだち。
その言葉に少し胸が熱くなる。
「何かあったら…いや、何もなくても連絡しろ」
「え?」
「用事無くても連絡しろ」
「よ、用事がないのにですか?」
先輩は私の頭に手を乗せ優しく撫でた。
「スタンプだけでいい。時間がかかってもいい…連絡してほしい」
そう言うと、手を離し窓の外を見た。
反射する窓に見えたのは、頬を赤らめる先輩。耳まで赤い。それに釣られるように私も赤くなった。


