八神の連れてきた千雪に全員が驚いていた。何故なら、あれだけ探していると言っていた女性と違ったからだ。

ピンク頭を筆頭に数人が何やら話している。


「あの女、脅して総長に付き添ってんじゃ…」

「なにぃ⁉総長には三年も片思いしてる人が…!」

「待て待て!総長がそうハイハイと話に乗るかぁ?」

「いや、でも言ってた人と全然ちげぇけど…」


ドアが開くと同時に蜘蛛の子散らす。
八神と出てきたのは怯えている千雪。

二人は車に乗っていなくなる。



「…っ、総長が…くるまぁ!?」



一人盛大に叫ぶ。



「いつだってバイクだった人だぞ⁉なんであのイモ女の為に車なんか…」

「おーい、あんま言うと仁に怒られっぞ」



全員がビクッとし、慌てた。

そう言ったのは副総長、難波慶だったからだ。



「す、すみません!」

「お前等の言う意味すげー分かっから怒らねーよ」



頭を下げていた緑髪の男が不思議そうに言う。


「…それって、難波さんもそう思ったって事っすか?」


思わず出たんだろう。ハッとしてもう一度深々と頭を下げた。



「おおー正解。お前等と同じこと考えてたわ」

「「「まじすか!?」」」



ケラケラ笑う難波。


「でもな、あの子はお前等もよく知ってる女の子だ」


不良達は顔を見合わす。


”よく知ってる女の子”そう言われて思いつくのは一つしかない。


「で、でも聞いてたのとは少し違うような…」

「それなら仁に聞いてみろよ。丁度帰ってきたし」


難波が指さした先、八神の姿。



「「「おつかれさまです!」」」



八神は何故か少し不機嫌だった。
低い声で「ああ」とだけ返事する。

不良達は小声で話し始める。


「おい、どうすんだよ」

「どう切り出す!?」

「つか…なんか怒ってね…?」