──────日が落ちるのが早くなった。
公園の街灯が付き始める。
誰もいない薄暗い場所。
同じペースで歩いてくれていた。
…嬉しい。
また隣を歩けるとは思ってなかったから。嬉しくて顔がにやけてしまいそう。
手摺に寄り掛かる仁くんの隣で休憩。今度はちゃんと隣。離れた所にいるわけじゃない。
ドクン、ドクン
鼓動が早い。
隣にいるだけなのに。どうしてこんなに心臓が五月蠅いんだろう。
「千雪?」
「ひゃっ!」
吃驚しすぎて飛び跳ねた。
仁くんがそれを見て笑った。
「…ッ、悪い…フッ…、」
笑ってないように見せて笑ってるのが見える。
へっ、変な声出ちゃいました…。恥ずかしいです…。
「可愛いな、千雪は」
「そ…そんな事、ないです…!」
「いいや、可愛いよ。千雪はずっと」
否定しながら後ろに下がっていく。
いつもそうだ。仁くんはいつもそう言って私をからかう。だけど嬉しくて。嫌だと思った事無くて……。でも恥ずかしい。
「…っ、そんなこと─────」
カツン、と踵に当たった。
下がり過ぎて縁石にぶつかったのだ。
足がもつれ、そのまま背中側に重心がいく。
…あ、れ?
後ろは確か池が。


