家の近くの駅前に止まる。
いつも送ってくれる場所。
今日も送ると言ってくれたけど、降りる前に袖を引っ張る。
「千雪?」
もう離れてしまうと思ったら嫌だった。
…もっと傍にいたいな。
でも迷惑、ですよね?
「どうした?まだどっか痛むのか?」
「え?…い、いえ。大丈夫です、えっと…」
一瞬離したが直ぐに掴み直す。
…離れたくない。
「…もう少し…一緒にいたいです、」
家にまだ帰りたくない。
「………俺も」
え?
聞こえないぐらいの小さな声がした後、ドアが閉まった。運転手さんに行き先を伝えると走り出した。
着いたのはあの時、仁くんが煙草を吸っていた公園だった。ドアが開き、引っ張られる。
「じんくん?」
「…付き合え」
私がいたいって言ったからですか?
自意識過剰なだけかもしれないのに。それでも嬉しくて、ドキドキした。


