白雪姫は寵愛されている【完】




──────夜、

朔也くんが何処かに行くのを見届けてから、ゴミ袋の中を漁っていた。


…どこ、どこにあるの。


真っ暗な部屋で唯一ある明かりは、小さなライトのみ。帰ってきた時に付いていたら怪しまれると思ったから。


せめて…あのマスコットだけでも…。


難波先輩達から貰ったマスコットは死守出来た。私が練習で作った物だと言ったから何とかなったのだ。



「…あ、あった…!」



ちょっと汚れてるけど二つ。
傷付いてないままで見つかった。


良かった…ほんとに…。


ぎゅっと握り胸の方に持ってくる。
血が乾燥してこびりついたマスコット。

落とせるかな?
少しでも落ちたらいいんだけど…。


……仁くんの物だから。ちゃんと返さないと。


下駄箱に入れておけばきっと大丈夫。
学校の中までは朔也くんは知らないはずだから。


大丈夫──────、




「何してるの、白雪」

「ひゃっ…!?」




振り返ると、中腰の朔也くんがいた。慌ててマスコットを隠す。



「マスコットなら俺が新しく買ってあげるよ。そんないびつなのじゃなくて、ちゃんとした可愛いヤツ」



気付かれてる。私がマスコットを探していたこと、持っていることも全部。


「これが…、良いんです…」


取られまいと、マスコットを抱き寄せる。



「ジンが持ってたから?ハッ…だったら笑えない。俺がいるんだからもう必要ないだろ」



寄越せ、そう言われるたびに首を振る。どうしても取られたくなかった。



「わ、わたしが作った…んです。だから…仁くんの物じゃ…」



──────バンッ!
大きな音が自分の顔のすぐ横で鳴った。

身体がビクッと反応する。

首筋に感じたあの感触を思い出し身震いする。



「これ以上、俺を怒らせるな」



全身が凍り付いたような感じがした。
指一本動けず、顔を見る事しか出来ない。