白雪姫は寵愛されている【完】



「わ…私のです…」


咄嗟に嘘をついた。


「白雪の?その割に血がべったり付いているね?まるで…刺された奴のポケットに入っていたみたいだ」


っ…!!

突然首を掴まれた。
苦しくて息がしづらい。


「言ったはずだ。俺は嘘つきが嫌いだと」

「ッ…!ごめ…なさ…ッ」

「謝るって事は、やっぱりジンのなんだ?」

「ッ──────、!」


息が…出来な…!

手を離され、その場にへたり込み咳をする。



「これ、捨てていいね?」



私と同じ目線にまでしゃがむ朔也くん。
またされるんじゃないかと恐怖を覚える。



「……ッ……は、い…」



朔也くんの手が私に向かって伸びる。
ビクリとし身を丸める私を抱きしめた。



「ごめん白雪。…でも白雪が悪いんだよ。俺の事が好きなのに、他の男の物をとっておこうとするから…」



右手首を引っ張られ、また身体を強張らせた。

どうし…よう。今度は殴られたりとかしたら…。
っ…怖い。怖いよ。…助けて。


薬指に何かをはめられた。


「……っ…?」


キラキラと輝くダイヤモンドが付いた指輪。
まるで婚約指輪のようだった。


「これは俺のって印。今は右手に付けてて」


石にキスをする朔也くんは、私の頭を撫でたあとでワイシャツのボタンを引き千切った。

…ッ…!?


「朔也くん…?」

「大丈夫。もう一つ俺の印を付けるだけだから」

「ッ──────!!」


首筋に感じた痛み。
針で差されているみたいだった。


「……うん。これでいいよ」


笑みを零しながら朔也くんは私の手鏡を取り出した。そこに映っていたのは、赤い色のマークのような物。


「これは俺の印…キスマークだよ。見える位置にやったからしっかり見せて歩いてね」


私は震えながら小さく頷いた。