白雪姫は寵愛されている【完】



苦しい、心が痛い。
好きと言うたびに、痛くなる。


「白雪、もういいよ」


何回言ったか覚えて無い。
ずっと言っていた気がする。

朔也くんがそう言って、私を離した所でようやく辞めた。


…凄く嬉しそう。

久しぶりに朔也くんの笑みを見た気がする。
何の雑念もなく、真っ直ぐに笑う朔也くんを。


「ずっと夢見てた。白雪が俺の事好きだって言ってくれる事。この日の為に俺は今まで…自分を犠牲にしてまで頑張って来たんだ」


朔也くんは私の髪にキスをする。


そうだ…朔也くんはずっと私の為に辛い思いをして来たんだ。


それに答えないでどうするの?
私のせいで朔也くんは沢山我慢してきたんだ。


だから私は朔也くんの想いに答える義務がある。


”千雪”


…っ、違います。
もう貴方の事なんて考えない。

私は──────、



「白雪、」



顎を持ち上げられ視線が合う。



「キスしよっか」



朔也くんの指が唇に触れた。