白雪姫は寵愛されている【完】


朔也くんはジッと私の顔を見た。
そして優しく頬を撫でる。


「……中止だ」

『は!?!』


朔也くんの言葉に宏くんの声が裏返った。きっと本当に行くつもりだったのだろう。宏くんの背後からも野次が聞こえてくる。


『ちょっと!ここまで用意しといて…』

「サツに捕まると厄介だ。サツに金を渡してないからな」

『えー。でももうみんな行く気満々なんだけど』

「そんなに喧嘩したいなら俺がしてやる」

『……みんなそれは勘弁だってさ。も~!来るときアイス買って来てよねぇ!』


朔也くんは溜息交じりに分かった、と言って電話を切った。



……これで大丈夫。
朱雀も仁くんも守れ、ましたよね?


褒めてくれますか?



「う、うぁ…」



私も皆さんの仲間だと守れるんだって…。ただの足手まといじゃないと…そう言ってくれますか?


朔也くんの指が目尻を拭った。
それでも止まる事無く出てくる涙。



「泣くほど俺が好き?」



力強く抱きしめた。

吃驚して一瞬動かなくなる朔也くん。
だけどすぐに手を回す。


「っ、す…き、好きです、大好き…好き…す、好き…です」


もうこれ以上誰も怪我させません。私が皆さんを守ります。だから…私はもう、仁くんの事なんて好きじゃありません。



「さく、やく…ん…好き…」



朔也くんだから。