私が…朔也くんと…?
どうしてだろう。想像するだけで……全身にゾワゾワとしたものが駆け巡ってしまうのは。
「きゃあ!」
ようやく手が離れたと思ったら仁くんと私を引き剥がされた。
美琴さんが仁くんの身体を乱暴に引っ張っている。
「う゛…、」
「や…やめて…!」
朔也くんに腕を掴まれ、仁くんに近付くことが出来ない。
「離し…!」
「白雪は俺を聖人君子か何かだと思ってる?」
鼻から下を手で覆われた。
…っ!息が…!
「俺は気が短いんだ。ここでジンを優先するなら放置する。朱雀の奴等を操るなんて簡単なんだよ。
ミコトを使ってジンは白雪と帰ったと言えば、あいつ等は探すことはしないだろうな?ここに不良を配置すれば一般人は勿論。警察さえも面倒で誰も近寄らないだろうな。そしたらジンはどうなると思う?次の日どんな姿で発見されるんだろうな」
次の日…そんなの、
手を離され、息が吸えるようになる。
咳き込み何度も口で呼吸をする。
「もう一度聞くよ。白雪。」
携帯は朔也くんに取られた。
私が仁くんを支えながら病院になんていけない。
周りに人もいない。叫んでもきっと届かない。
──────弱い。
私は誰よりも。
普通の子よりも弱いから。
「俺の物になってくれる?」
「──────っっ、」
…嫌。嫌だよ。
私…仁くんが好き。大好きなんです。
だけど──────、
仁くんがいなくなるなんて事があったら私…耐えられません。
「…………なり……ます……」
私が我慢すれば、全部問題が解決する。
好きな人を助けることが出来るなら──────、


