スローモーション、それは現実世界でなるのはないと思う。見れるのは機械越しにだけだ。
「……ッ、仁…くん…?」
目の前に大きな体が覆い被さった。重さに耐えらず、地面に座ると彼も同時に座り込む…いや、倒れ込んだ。
この間もずっとスローモーションで。
自分に起きたことが全部嘘みたいで…。
誰か…嘘って言って。
「仁くん!」
倒れた仁くんの体から赤色の液体が流れた。
お腹の辺りから、ずっと流れて来てる。
触れた手に水の感触。鉄の匂い。
私の手の平にべったりと付いているそれは。
血だ。
「仁くん!しっかりしてください!」
目を瞑っている。
反応が無い。
いや…いやぁ…!
抑えてるのに出血は止まらない。
「仁くん!!」
何度も声を掛けた。
それなのに…。
どうして、何も反応してくれないの…?


