白雪姫は寵愛されている【完】

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白藤が走った後すぐに久我は車に寄り掛かった。
内ポケットから煙草を取り出し咥える。

ライターを何度もつけようとするが、中々つかない。


「…チッ」


隣からジッと音がした。

見ると文月がいる。
手には火のついたライター。


「盗み聞きとは、良い趣味とは言えませんね」

「違うっす!…偶々ここに着いただけっつーか…」

「……まあ、そういう事にしておきましょう」


ふぅっと息を吐く。
灰色の煙が真上に流れる。

風向きは、さっきまでいた白藤の方へ。



「颯太は…」

「俺は!!」



同じように寄り掛かった文月が見上げた。
空は快晴、雨の降る気配もない。


「白藤が幸せならそれでいい!」


久我は鼻で笑った。



「僕は正直、今すぐにでも仁がいなくならないかと思ってるのに。凄いですね」

「うわっ…、なんてこと言うんすか…」

「これでも初めてなので、出来れば諦めたくなかったんですよ」

「えぇ!?そうなのか!?」

「颯太、うるさいですよ」



久我の鉄拳が文月の脳天に炸裂。
余程痛かったのか、その場にしゃがみ込んだ。


「もし仁に少しでも隙があれば、奪うつもりです」


「相手を…白藤の為を思うなら、辞めた方いいっすよ」


「そうですね…ですが、好きなので無理ですね」


「……よく、白藤を送ったっすね…」


「これが最初で最後です。後は容赦しません」



そう言うと、携帯灰皿にまるで怒りをぶつけるようにタバコを押し潰した。





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