白雪姫は寵愛されている【完】


朔也くんは昨日も帰ってこなかった。


帰ってくるまでに早く寝てしまおうと思い、パパッと準備してベッドに潜った昨晩。一応夕飯の準備もしていたけど、一切手を付けていない状態で翌朝まで残ってた。

最後に朔也くんに会ったのはあの夜だけ。
それ以降は全然会えていない。


もしかして、私が携帯見たの気付いたの…?
それとも何か…事故にあったり、とか…。


自分からメールを送ればいいのに、今もそれは出来ていない。



「千雪ちゃん、顔怖いぞ」



向かい合うソファの上で寝ている難波先輩が起き上がった。


「あ…お、おはようございます」

「考え事か?」


顔に被せていた雑誌を退かす。

考え事…やっぱりバレていたんですね……。


「…昴と仁か」

「ひゃぃ…!?」


今考えていた事と違っていて、驚いた拍子に漫画本を落としてしまった。


「なんだ?ちげーのか?」

「え…えっと…それはその…、」


確かにその事も悩んでいる一つに入るだろう。
未だに答えが分からず仕舞いだ。


「あー…昴が言ったのは予想外だったわ………俺も言っとくんだったな」

「は、い?」


首を傾げると、難波先輩は「なんでもない」とだけ言った。