白雪姫は寵愛されている【完】



「──────次の日から女生徒からは虐められて…男子生徒からは、あることない事言われて…そ、その時から…目を見れなくなって…しまって」



朔也くんの提案で前髪を伸ばすことにした。最初は眼鏡もいいと思ったけど、目は悪くなかったし伊達眼鏡じゃ変わらないと朔也くん言われた。それに…眼鏡は朔也くんが拒絶したから。

前髪がある分、相手の顔を少しだけど見れるようになった…と思う。


仁くんは黙って全部聞いてくれた。何度も相槌を打って、言葉に詰まった時も待っててくれた。


手が頭の上に乗る。


「他人の俺からすれば、千雪は悪くない。その女が嫉妬して、はぶいただけだ。元はと言えば、女が全部自分でやればよかっただけだろ」

「で…でも、断らなかったのは私…なので…」

「一度は断ってんだ。ただ、それを無理強いしてまで頼んだ。男は勘違いしやすいんだよ。千雪に話しかけられて、その男もいい気になってたんだろ。だから、千雪は悪くない。……別に贔屓で言ってるわけじゃねーからな?」


急に照れる仁くんに思わず吹き出してしまった。


精一杯慰めようとしてるのだろうか。それとも本心?

……多分、どっちも。
仁くんは嘘付かなくて優しいもの。


初めて身の内を話したけど、こんなに安心するとは思ってなかった。


きっと仁くんだから…なのかもしれない。