息を切らしながら教室についた。そこには泣いている美雪ちゃんを囲むように数名の女子、クラスメイトがいた。
背中を摩られながら泣いている美雪ちゃんと、私に鋭い視線を向ける女子生徒達。
「み…美雪ちゃん…」
駆け寄ろうとした私に、一人の女子が突き飛ばした。強い力に耐えられず尻もちをつく。
っ…!痛っ…、
「あんたどの面下げて来たわけ?」
私を囲む女生徒達に見下ろされている。
「…み、みゆきちゃんに……あ、謝りに……」
さっきの恐怖もまだ残っている。
…だめ、泣いてしまう。
ポロっと落ちた雫に女子達はもっと顔をしかめた。
「あんたそうやって男に媚売っての?」
「人の恋路邪魔して何が楽しいの?」
「ほんと最低!!!」
口々に吐き出される暴言の数々。
鋭く冷たい、好奇な視線。
美雪ちゃんは声をあげて泣き出した。
それを全員で宥め始める。
「ずっと…グズ…好きだったのに…利用されてたなんて…ヒック…」
美雪ちゃんの言葉に女生徒達は同調を繰り返す。
……そんなつもりなかった。
私は…本当に美雪ちゃんの力になりたくて。
「手伝うって言いながら和也くんと良い感じになってたんでしょ?ほんっと!!最低な女!!」
「美雪、和也くんの事好きだってずっと言ってたのにさ!!」
「この!ビッチが!!」
走って来たからだろうか?
息がしずらく感じるのは…。
「はっ…はぁ…、っは…」
呼吸…上手く出来な…。
「友達だと思ってたのに…千雪なんて大っ嫌い!!」
カヒュ…、
私はその場に倒れた。生まれて初めて過呼吸になった。


