白雪姫は寵愛されている【完】




「私!告白する…いや、しますわ!」


昼休み。唐突だった。



「そ、そうなんだ…頑張ってね」



吃驚してウインナー落としちゃった。
…ごめんね、たこさんウインナー。



「勿論千雪も手伝ってくれるよね?」

「………え?」




一瞬顔が近づく。


お手伝い???
でも告白するなら聞く事なんて無いと思うけど…。


美雪ちゃんがポケットから取り出したのは、一通の手紙。ハートのシールが貼ってある。見るからにラブレターというやつだ。


「お願い!代わりに渡して!!」

「え…っ!?」


流石に出来ないと左右に首を振った。


「ま…待って。告白するんだよね?それなら美雪ちゃんからじゃないと…」

「だって勇気無いんだもん!!」


無いんだもんって…。


「それなら、勇気が持てるまでお預けだね」


膝の上のお弁当箱を片付けながら言った。


「渡してくれるだけでいいのに!?」

「…告白は本人からする事が良いと思うよ」

「何それ!手伝ってくれるって言ったじゃん!!」

「そんな事言われても……、」


美雪ちゃんは無理無理私の手に手紙を握らせた。


「み、美雪ちゃ…!?」

「お願い!この通り!これで最後だからぁ!!」


拝まれても…。


返そうとしたが、受け取ろうとしない。
もう渡して来るしかないらしい。


「……わ、わかった。放課後ね」

「やったー!千雪様ありがとー!私も付いていくから!渡し終わったら出てくから!」


抱き着いてくる美雪ちゃんと、乗り気のしない私は溜息をついた。