白雪姫は寵愛されている【完】




態々、廊下にまで来てくれた和也くんに全部聞いてみた。
美雪ちゃんが言っていた事を全て。

美雪ちゃんの名前は出さずに。


「──────ありがとうございました」



別れたばっかりで辛いはずなのに。


「あ、ああ。いいよ。別に…。えっと、白藤さんってそう言うの気にするんだね」


そういうの?もしかして別れたばっかりの人に聞いた事についてかな?



「ごめんなさい、嫌でしたか?」

「え!?い、いや…全然むしろ嬉しいかなぁって」



え?喜ぶような事言った記憶は無いけれど…。


そう思いつつ、もう一度お礼を言った。


聞いたことを頭の中で繰り返し教室に戻る。
私を見つけた美雪ちゃんが一目散に来た。

ちゃんと自分の名前を出さずに自然に聞けた、なんてことを言われながら興奮気味に問われる。


「どう!?なんて!?」

「えっと…黒髪でボブよりのミディアムヘアーで、目が大きくて制服の着こなしが綺麗で。女性らしい仕草と言葉遣いをする人…って言ってたよ」



凄い具体的なのには吃驚したけど。

人の好みだし、むしろ具体的な方が目指しやすいのかも。



「えええ…正反対なんだけど!」



がっくり肩を落とす美雪ちゃんの背中を摩った。



「こうなったら…和也くんのタイプに大変身するっ!!」



瞳の中に炎が見えた。



「千雪!手伝ってくれるよね!?」



キラキラした表情で手を掴まれる。
気迫に負け思わず頷いた。