白雪姫は寵愛されている【完】

私の前で手を合わせる。
まるでお参りしているみたい。


私、和也くんと仲良くないのに…。



「み、美雪ちゃんなら大丈夫だと思うよ?」

「無理だよおお!だってもうカッコ良くて見てられない!」

「自分でやった方が…相手に印象与えると思うけど…」

「みんながいる前で!?そんなの恥ずかしくて無理!!」

「…それなら放課後に話しかけてみたら?一人になると思うよ?」

「なんで!?こんなに頼んでるのに!友達でしょ!?」



ここで断っておけば、話は別だったのかもしれない。
─────────そう考える日もありました。



「…わ、わかった…」

「さっすが!神様仏様女神様!千雪様ぁぁ!」


調子いいんだから。



「それで…何をしたらいいの?」

「まずはー…和也くんの好きなタイプ!聞いてきて!」

「好きなタイプ?…それってあの先輩の彼女さんなんじゃないの?」



美雪ちゃんは人差し指を左右に動かした。



「チッチッチ…、

甘いわ!千雪!好きなタイプと彼女は違う場合もあるのよ!それに!別れたばっかで、変わる可能性だってあるのよ!だから~千雪に聞いてきてほしいの!」



男子と話すのは苦手なんだけど…引き受けた手前、断れないし…。

私は静かに頷き席を立った。



「あー!待って待って!」



教室を出ようとした私に美雪ちゃんが駆け寄ってきた。



「性格と容姿を聞いてくるんだからね!」

「…そこまで言うなら美雪ちゃんもおいでよ」

「えぇ!?む、無理無理!!」



美雪ちゃんの顔が真っ赤か。恥ずかしいんだね。



「お願いね!千雪!」

「…うん、行って来るね」