白雪姫は寵愛されている【完】



驚く私と目を大きく見開いた美雪ちゃん。
弾く音が異様に大きく感じた。


「あ…っ……、」



美雪ちゃんの小さな声が響く。


っ…痛っ…。


美雪ちゃんの爪が手の甲を引っ掻いていた。
少し滲む血に眉をひそめた時だった──────、



「…え……?」



美雪ちゃんが私に向かって土下座をした。
額を地面に擦り付けている。


ど…どうして、こんな…こと。



「すみませんでした…ご、ごめんなさい…許して…」

「み、みゆきちゃん!もうやめて…!」



擦り付けた額から血が滲んでいた。



「千雪、待て」



ハンカチを渡そうとした時、仁くんに腕を引っ張られた。
仁くんが私の前に立ち美雪ちゃんを見下ろす。


「…おい、お前」

「ヒィッ……!!」


仁くんは溜息を吐いた。



「もういい。早く帰れ」

「…あ……ありがとう、ございます…」



美雪ちゃんはもう一度だけ頭を地面にぶつけると、足早に帰っていった。