白雪姫は寵愛されている【完】




「「………」」





二人並んで一言も話さない夕方。家までの帰り道が遠いような短いような、そんな感じだった。

どうしてでしょう。
自分から頷いたというのに。


気まずいなんて……。


…私が返事をしたんですから、話しを振らないといけませんよね?


「あの…」

「なあ、」


─────────ほぼ同時。


「……悪い、千雪が先に」

「い、いえ…あ、あの!先に…ど、どうぞ」


…タイミングが悪すぎました。
話しかけなきゃ良かったです。


折角話しかけてくれたのに…。


「…昨日、絵文字…嬉しかった…」


ボソッと。
顔を逸らした仁くんの耳は真っ赤だった。


絵文字…あの絵文字喜んでくれたんですか?


柄じゃないとか、似合ってないとか…思われるかもって思ってたのに。




「…わ、私も…」




制服の袖を掴み、口を開く。




「─────────…ち、ゆき?」




その言葉を遮ったのは、懐かしい声だった。