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サクヤが車に乗り込む。車の中には、キャンディを咥えた阿久津の姿があった。



「スマホ、あったの?」



サクヤが頷く。



「あっれ?どしたのその反応?もしかして見られたとか~?」


「だろうな」


「マジ?ってか…なんで分かるの?」


「熱を帯びてるからな。平常心を保とうとしてたが…やっぱり白雪だな。隠しきれてなかったよ」



顔を手で覆い肩を震わせる。
それは悲しんでいるわけでも怒りで震えているわけではない。

隙間から覗くサクヤの顔は笑みを浮かべている。



「ハハ…可愛い…。俺の白雪…。俺が居ないと寂しいって…なんだよそれ。襲って欲しくて言ってんの?フッ、ハハ…」



サクヤが携帯にキスをする。



「あれ、もしかして~…サクヤの事バレちゃったんじゃなーい?やばぁ…すげー面白くなってきたじゃん」



ニヤリと笑って飴を噛む阿久津宏。



「ハッ…、どーだろーな?でも、白雪は必ず俺を選ぶ。ジンではなく、俺を」


「えー?でも千雪はわかってないだけでアイツの事…」


サクヤはガンッと前の座席を蹴飛ばした。
驚く運転手は一瞬車のブレーキを踏む。



「だから?俺には全く関係ない事だ。俺以外選ぶ?そんな事させるか」

「どうやってそうさせる気?」



ニヤリと笑う阿久津宏にサクヤは声高らかに笑う。



「どんな手を使っても、俺以外選ばせなくさせてやるよ。そして一生俺の物になる。白雪が自らの意思で俺と居て、キスしてセックスする…そうさせればいいんだよ。

フフ…早く俺の物になってくれ。白雪────────、



アイシテル」




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