白雪姫は寵愛されている【完】



でもでも。
ばっかり考えて中々返信できない。

笑顔の絵文字を、ありがとうございましたの後ろに…こんな感じでいいのかな?


あ、あとは送るだけ…。


でも変に思わたりしたら?
誰にも絵文字なんて使った事無いですし…!



「や、やっぱり元に戻して…!?」



なんて考えてる内に、勝手に送信し終わっていた。


「ど、どうして勝手に!?」



もしかして、さっき画面に指が触れた時に!?
そ、そんな!一瞬だったじゃないですか!


携帯が揺れた。吃驚しすぎて思わず落としそうになりつつ持ち直す。今度も深呼吸後にメールを開く。



『そうか、なら良い。寒くなって来てるからな、暖かくして寝ろよ』



さ、流石に絵文字については何も言いませんよね。
良かったです…変に思われていたらどうしようかと…。


─────────我儘だ。


本当は絵文字の事に触れて欲しかった。
そんな事を思ってる。

いつからこんな我儘な女性になったのだろう。



「…っ、やっぱり変な事しなければよかった…」



ブブ…、
揺れた携帯とメールの着信音。

……また仁くんから?



「っっ…、!」




”おやすみ”の後に絵文字が一つ。
眠る絵文字が付いていた。