白雪姫は寵愛されている【完】




帰りが遅くなってしまった。


静かにリビングのドアを開けた。
暗く、電気の一つも付いていない。


……朔也くん、今日も遅いのかな。


ホッと胸を撫でおろした。

門限から一時間も過ぎているから、もしバレたら朔也訓になんて言われるか…。


それに…、






「お帰り、白雪」

「ひゃあ!!」








背後からの声に驚き、大声を出してしまった。





「さ……朔也く…ん」





驚き過ぎて心臓がバクバクしている。



…いつの間に。

いるような感じはしなかったのに。





いつものスーツ姿ではなく、ジャージ姿の朔也くんがいた。






「こんな時間まで何処にいたの」






電気が付いて、朔也くんの顔がよく見える。




…怒ってる。

笑ってるけど、凄く怒ってる。





「俺がどれだけ心配したか分かってる?」




「…ご、ごめんなさい」






せめて連絡しておくべきだった。こんな時間まで帰らなかったのは、今日が初めて。





朔也くんが怒るのも無理はない。