「…そんな事…無いですよね」
そのズボンは前からなっていて、今まで気が付かなかっただけ。汗をかいているのも、あそこが麒麟の縄張りって所で、いつ来るかわからなくてのものですよね。
私の為、とかそんな事あるはず無いです。
「私の事…嫌いになったんですから…、」
「───────違う!!」
大きな声に吃驚した。
「わ、悪い」
違う…?それなら…、どうして私を…避けたんですか…?
「……嘘…つかないで下さい。私…嫌われる事は…慣れてます…」
…また、泣いてしまう。
我慢していた涙が溢れてしまう。
「千雪違う…俺は、」
仁くんの優しさが、更に胸をズキズキと痛めつける。
「嫌じゃ…ありませんでした」
手を繋がれるのも、抱きしめられるのも、キス…されるのも。
胸は張り裂けそうなぐらいドキドキしたけど、嫌じゃなかった。


