「千雪ちゃん、颯太。待たせたなー」
難波先輩と仁くんが来た。
仁くんの腕には何故か女の人がしがみついていた。
さっき緑髪の人の両端に居た金髪の綺麗な人だ。
───────私とは正反対。
キラキラしてて、体も…私より胸大きいし。身長も高い。ぴったり体ラインが分かるような服を着てるけど、出るとこは出てる。
きっと男性はああいう人が好きなんだろう。
私なんかより…。
ズキン、
痛い…なんでだろ。
胸が凄く痛いよ。
一人の女の人が私を見た後で、仁くんの腕に胸を当てるように絡みついた。
ズキン、
「ねぇ?あんな女よりあたしにしてよ。テクも絶対あたしの方がうまい自信があるの。あんなブサ女より、あたしの方が綺麗でしょ?」
……触らないで。
「キャッ!」
仁くんは女の人の腕を振り払った。
驚いて尻もちをついた。
「った…なにすん…、」
段々と青ざめていく。
あの人だけじゃない。
私も怖くなってる。
仁くんの殺気がこんなに離れた場所まで伝わってきていた。
「目障りだ。消えろ」
女の人は涙目になりながら何度も頷き、ビルの中に戻っていった。
「…うわぁ、仁さん怒ってる」
颯太くんが苦笑いした。
「お…お、怒ってるの…?」
「白藤の事悪く言うから悪いんだけど…」
私のことを…?
でも事実だよ。
あの人の方が綺麗だった。私よりも何十倍も…。
仁くんが近づいてきて、手を出す。
反射でビクッとしてしまった。
私の反応を見て仁くんは何も言わず手を下ろした。


