白雪姫は寵愛されている【完】


───────それと、変わったこと。



「…今日は難波先輩なんですね」


「ああ、悪いな。仁じゃなくて」


「いえ!そういうつもりでは…」


「ハハ、分かってるって!」



仁くんが迎えに来なくなった。

颯太くんも誰か迎えに来たら、手を振って帰っていく。たまに送り迎えもしてくれるけど。全員が倉庫に居ることがなくなった。


私は知らなかったけど。
学園祭で朱雀の敵対族、麒麟と喧嘩したらしい。

怖がらせないために、私には言ってくれなかったけど。周りの子が言っていて、嫌でも耳に入ってきた。

その後から、朱雀の方でも忙しくなったらしく。倉庫に行くと半分以上の人が、自分の仕事の為なのかいなくなっていた。

私は相変わらず朱雀のみんなと居るから…気持ち的に大分参ってるのかも。


倉庫に行くと、必ず昴くんがいる。
パソコンと常に睨めっこで、忙しそう。

難波先輩は昴くんに「よろしく」とだけ言って出ていく。


私と昴くんはお留守番係みたい。


昴くんが微笑んでくれ、渡してくれたのは読みたかった本。前は何か企んでいるような感じだったけど、最近は何も言わず貸してくれる。


それぐらい忙しいんだと思う。
本を捲りながら、別の事を考えた。



───────麒麟、



他にも族があるのを知ったのは、この間の事。


私があまり興味がなかったことだから知らなかったけど。その麒麟っていう族は、元々朱雀と組んでいたらしい。

でも仁くんが総長になる前の総長さんと言い争いが起きてしまって、そこからバラバラになったって聞いた。

勿論。今の全部学校の子が言ってたのを聴き耳を立てただけなんだけどね。