白雪姫は寵愛されている【完】


仁くんと二人っきり。


囲まれていた女子達がいなくなる。
何故ならここは立ち入り禁止の立て札がされてある屋上付近の階段だから。


気にせずみんな入っていったけど、本来は入ってはダメな場所。


下の方から聞こえる人の話し声が響く。


今なら、昨日の事言えるかもしれない。
二人っきりの今なら…。


「あ、あの…私、」


……えっと。
なんて言ったら…。



「無理しなくていい」

「え?」



そう言うと、さっきまで繋いでいたはずの手を解いた。


「悪い。俺が触るのも怖いだろうが…あいつ等と繋いでほしくなかった。嫌ならもう繋がないから安心しろ」


また、悲しい顔…。


離れた手を両手で握った。
ようやく目が合う。



「違う、違うんです…、私嫌だなんて…思ってません」



あの時よりも、

名前を呼んでもらえない今が嫌。
私の目を見てくれないのが嫌。

手を振り解かれるのが嫌──…。


心臓が苦しくて痛くて辛いの。


昨日の事よりも、今の方が何十倍も嫌なの…。


「っ…ちゆ、」

「仁!!!」



私に向かって伸びた指が、触れる前に止まった。