────学園祭二日目、
演劇部門は昨日だけだったから、今日は自由に行動していい日。
「ほ、本当にこんなのでいいの?」
「いいって!それに俺お金なんて腐るぐらいある」
…お金持ちって凄いなぁ。
ドレスは、汚れちゃったからクリーニングに出そうと思ったけど。かなり高価なものらしく、専門のクリーニング屋さんじゃないと駄目だと言われてしまった。
弁償しようと思ったけど…私なんかが簡単に出せる金額ではなく。それでも少しでも出せればと思ったけど。結局要らないと断られてしまった。
その代わりに「今日の学園祭をみんなで回ってほしい。」と言われ、一緒に行動することになった。
「仁?珍しいなお前が千雪ちゃんから離れるの」
「……、」
…仁くん。
結局昨日会えなかった。
帰りの時も…。
迎えに来たのも仁くんではなく、昴くんが代わりに来てて。今朝も颯太くんが来ていたし…。
「千雪さん?どうかしました?」
「え?…な、なんでもないですよ…!」
昨日から言えない事ばかり。
朔也くんにも聞けなくて。
仁くんにも何も言えなかった。
───パシャ!
カメラの音に吃驚した。
「白藤?大丈夫か?」
私達を遠くから囲んでいるのは、化粧、服装準備万端、香水がツンとなるぐらい付けている女性達。
その手には携帯とカメラ。一眼レフカメラを持つ人もいれば、携帯でひたすら連射している人もいる。それからフラッシュで何度も取り直す人もいた。
…私じゃなくて、みんなを見ているんだろうけど。
話し声が全部私に対しての悪口だと思ってしまう。違うのかもしれない。でも…全部私に対してなんじゃないかって思ってしまう…。
…ちょっとだけ、怖い。
「…っ、仁くん?」
手が触れた。
視線が合う。
だけどすぐに逸らす。
でも手は繋がれたままだった。
どうしよう、凄く嬉しい。
「どこ行くんだ」
「ん?ああ、千雪ちゃんどこ行きたい?」
「え?私?」
「千雪さんが行きたいところなら喜んで付いて行きますよ」
「白藤!俺腹減った!!」
「あほか。千雪ちゃん優先って言ったろーが」
「いって!!叩くなんてひどいっすよ!」
楽しい二日目が始まりそう。
だって、既に楽しいんだから。


