白雪姫は寵愛されている【完】




「ああ、そろそろ俺も行かないと」


腕時計を確認しながら言った。

今…朔也くんが行くって聞いて、ちょっと安心してる。


朔也くんは「忘れてた」と言うと、もう一度私の方を向いた。



「白雪、今すぐ着替えて前髪も降ろして。それから…そのブレザー男物だよね?誰から借りたの?」

「…さ、くやくん。私ももう戻らないとだから」



どうしてそんな事…。



「待って、答えてから行って?」



手首を握られた。



「それとも俺には言えないって事?」

「こ、れは……」



なんて答えていいかわからず、沈黙が続く。



ピピピ、



朔也くんが腕時計を確認する。



「…ごめんね、白雪。俺もう行かないと」

「そ、そっか…頑張ってね」



振り解き、小さく手を振った。


笑えなかった。


だって、怖かったから。
朔也くんが凄く怖かった。

逃げた男の人達も怖かったと思う。
凄く青ざめてたから。


私…最近朱雀の人達のお陰で少しだけど怖い空気とか、雰囲気とか、オーラとか…分かるようになったの。だから分かったの。



───────朔也くんが殺気を出していたこと。