「…んで、ここに」
さっきまでの気迫は無く、小さな声だった。
男達の視線は私ではなく、その後ろに向いている。
不思議に思い、振り返る。
どうして……ここに?
「朔也くん…?」
スーツ姿の朔也くんがいた。
…仕事だって、言ってたのに。
「さ、朔也くん!」
そんなこと言ってる場合じゃない。
早く逃げないと───…、
「……ッ、?」
な、なに?
言葉が詰まった。
「……あ、あの、えっと…」
男達の小さな言い訳が聞こえてきたと思ったら、
「し…失礼しました!!!」
突然お辞儀して、倒れた彼を連れ足早に帰っていった。
「白雪、怪我は無い?」
手を差し出す。
「…じ、自分で立てるよ」
「何言ってるの?立てないだろ、白雪」
図星。でも手を取れない。見かねた朔也くんが無理矢理引っ張って立たせてくれた。
「前髪、上げてたら大変だろう?下ろしてあげるよ」
触れる前に顔を逸らした。
「さ、朔也くん…仕事はどうしたの?」
「ん?ああ、中抜けしたんだ。すぐ帰らないとだけどね」
と言うと、頬を包む手。
「白雪、可愛いけど。その恰好で歩いたらダメだよ。また誰かが白雪を捕まえようとするよ?それとも…連れ去ってあげようか?」
微笑む。
「っ…も、もう行かないと、いけないから…!」
「もう行くの?残念」
そう言って、おでこにキスされた。


