白雪姫は寵愛されている【完】




ニヤニヤとする男達。


「これ、総長の土産に丁度良くね?」

「黒髪ロングに白肌、それにここまで上玉だ。喜ばねー訳がねー…。連れて帰ろうぜ」


全身がゾワッと、嫌な感じがした。



「は、はなし…てくださ…」

「ああ!?聞こえねーなぁ!!」



ビクッ!


耳元で大きな声がした。



「ほら!来いよ!!」

「い、いや…やめ…て…!」

「ああ!?だから聞こえねーっつってんだろ!!」



唾が飛んでくるぐらいの大声。

力いっぱい抵抗するけど、びくともしなかった。


「い…いやぁ!」

「痛っ!!!」


私の手が大男の顔に当たった。
爪が当たったりでもしたのか、線状の傷が出来た。



「ご、ごめんなさ…」

「てめぇ!何すんだ!!」

「きゃあっ!!」


階段近くの壁に勢いよく打ち付けられ、しゃがみ込む。



「おい!」



男達が両腕を抑えつけるに宥める。


「お、い!!やめろよ!!」

「怪我させたらどうすんだ!総長に怒られるだろ!!」



大男はかなり力が強いらしい。全員が顔を真っ赤にしながら、抑えているようだった。


その間にも大男は、

「女のくせに!俺に楯突くとはいい度胸だ!!」

と何度も叫んでいた。




に、逃げなきゃ…逃げないと。でも…立てない。



「おい!落ち着けって…、」

「うるせぇ!!」



思いっきり殴った。


大男に殴られた、男は鼻から血を流し倒れた。白目を向いていて、失神したんだと思う。


怖い…怖いよ…。


こんなに怖い人初めて見た。朱雀のみんなは見た目は怖いけど、優しくて笑ってて…暖かい人達で。


───…仁くん。
怖いよ、助けて…。



「お…おい!何やってんだよ!問題は起こすなって言われてただろ!!」


「うるせぇ!黙ってろ!!てめぇらは俺に従っておけばいいんだよ!!」


「おい!いい加減に──…」



叫んでいた彼らが急に止まった。