白雪姫は寵愛されている【完】



い…ちゃった。
違うって、言えなかった。

段々と呼吸が出来てきて、深呼吸した。


「……あ、」


声が出る。


…今から行ったら間に合うかな?
違うって言えるかな。


でも行かなきゃ。


今言わなかったらずっと言えないかもしれない。


教室を出て走り出した。


ドレスを着てる人が全力疾走してるだなんて、誰でも見てしまうだろう。みんなの視線が直接感じる。いつもなら見えにくい風景も鮮明に見える。前髪が無いだけでこんなに違うだなんて、思ってなかった。


仁くん…どこにいるの…!



どうしよう、今は怖いだなんて思ってない。

ただただ、あなたに会いたいの。



どうしてかな?


分からないけど…どうしても会いたい。


そして会ったら言うの。

嫌じゃなかったって。
凄く嬉しかったって。




ドンッ!




「きゃ!?」


前を見てなかった。誰かに思いっきりぶつかったらしい。そのまま尻もちをつく。


いたた…、


「チッ…あんだてめぇ!」


ドレッドヘアーの大男にぶつかったみたい。彼の後ろには数人の男がいた。



「うおっ!見ろよ!すげー美人じゃん!」



ピンク色の髪の男が言った。それに釣られるように、他の男と大男が、つま先から頭のてっぺんまでを穴が開きそうなぐらい見て来た。


「いい女じゃねーか」

「…っ!!」


手を引かれ、立ち上がった。