「今からキスするから」
「は…はい??」
思考が全く追いついていない状態の私に構わず、カッターの刃を出した。
そ、そんなに出して…、間違って当たったりしたら大変…!
戻そうとした私の手を止められる。
「じ、仁くん?危ない…よ?」
体に当たっちゃいそうなのに。
仁くんは真剣な表情で口を開く。
「俺は今千雪とキスがしたい」
「…へ?」
ど…どうしたんですか…!?
唐突過ぎませんか!?
「冗談は…」
「本気で言ってる」
本気?ほ、本気って??
「嫌なら全力で拒否しろ。止まらないと思ったらこれで刺していい」
「さ…!?」
そ…そんな物騒なこと出来ません!
逃げようとしたが、前にいる仁くんが逃げ道を防御していて逃げられない。
ど、どうしたらいいんでしょうか!
逃げ道ゼロです…!
刺すなんて出来ないですし!
「千雪、」
顎を指でくいっと持ち上げられた。
「悪い、もう待てない」
「ッ───…、」
真っ赤な顔で、唇を食いしばる仁くんに私の胸がドクンと跳ねる。
「じんく…、」
唇が、重なった。


