その後は、颯太くんの演技力が凄すぎた。
吃驚してオドオドの私をサポートし、手を取って歩いてくれたり。何度甘いセリフを言われたかわからない。その度に会場中の女性が赤面し、キャーと声を上げている。吃驚するぐらい大きな声で。
「あっ…!」
「おっと」
ドレスの丈を踏み、転びそうになるところを軽く抱えられた。私の腰に手を回し、手を掴み口元へ…。
「ドジなところも可愛らしい姫様だ」
「ッ──…、」
チュッ、
手の平にキスされた。
「「「「きゃあああああああ!!!!」」」」
そ、そんなことをするタイプではないです!颯太くんは…!
そしてこのドレスの事を思うとセリフすら出てこない。何故なら世界に一点しかないドレスだっていうから。
あの時、突然ヘリが来た。
突然…じゃなくて。
呼んだと思うけど。
中からメイドさんが出て来て、私の髪を整え、ドレスを着させられ、化粧までさせられた。私が終わったころには颯太くんも王子様になっていた。
その恰好のまま、脇に挟まれ校内を走った。
方向音痴過ぎて、私が行き先を教えたけど。全員に見られて恥ずかしい思いをした。
…うう、このドレス一度踏んじゃった。
ハイヒールって歩きづらいです…。
クリーニング代、いくらだろう…。


