「クソッ…誰がこんなことやったんだ、」
「そ、それより時間は…!」
「あ?」
颯太くんの腕時計を二人で覗く。
「っっ!!もう時間ないよ!いかなきゃ!」
「この状態で何すんだよ。もう諦めろ」
「だめだよ!!だって!颯太くん…」
あんなに頑張っていたのに。ようやく覚えてきたって喜んでたのに…。
「…白藤?泣いてるのか?」
「ごめんなさい…私のせいで…」
触れた手が優しく涙を拭った。
「ほんと、泣き虫だな」
笑いながら頬をつねる。思わず目を瞑ると、目尻に何か手じゃない感触。目を開けると、颯太くんの顔が真ん前に。
「しょっぺ、」
「!!?」
…え?今、舐められ…たの!?
吃驚して涙が引っ込んだ。
「俺は笑ってる白藤が好きだ。だから…久々に”財力”使うなっ!」
そう言った後、外が何故か砂ぼこりが舞っていた。


