高校に入って初めての学園祭。
流石はあの青蘭学園。
学園祭有名ランキング上位に入るほどの盛大振りである。
校門には風船とチラシを配る有名なマスコットキャラクター。”青蘭学園祭”と大々的に書かれたアーチ状の看板。入るとズラーっと縦に並ぶ屋台。どれも毎年恒例なのだから凄い。
「……えっと…、これを…着ればいいんだよね?」
私は今更衣室で劇に向けてのお着替え中だったが、聞いていたものと全く違う衣装に困惑していた。
ヨレヨレの赤いマント、青色の上着、白いズボン。百円ショップで見たことあるようなプラスチックの刀。
手芸部が作ると言っていた型紙とはどう見ても違う。
直前になって間に合わなかったとか?
…でもそんなに時間も無いし着るしかないですよね。
コンコン、
ドアをノックする音がした。
呼ばれるまでここに居てと言われてた。ノックして知らせると。
時計を見るとまだ時間に余裕がある。
…もしかして颯太くん?
「白藤さん!颯太様が大変なの!」
返事よりも先に委員長の焦った声が聞こえてきた。
───────え?
急いでドアを開けると泣きそうな顔の委員長がいた。
「ガラの悪い男の人が…颯太様を連れて行って…、あんな人数相手に一人で…!!」
前に颯太くんに言われた。相手が嘘ついてるかもしれないから、ちゃんと目を見てみろって。嘘ついたら人間絶対泳ぐって言われてた。
だけど…委員長の目は全く泳いでない。


