白雪姫は寵愛されている【完】


当たってしまった。
わざとじゃないけど…当たった頬に。


「ご、ごめんなさい…!」


ちょっと強く当たり過ぎたように感じた。

慌てて当たった頬に触れたが、仁くんはケロッとしてる。


「どうした?」

「あ…あたってしまったので…」

「ああ。痒かった」



かゆ…!?


でも何ともないからとりあえずは安心。

赤くもなってない。
無理してる感じもない。


「あの、痒いっていうのは…?」


割と強かった気がしましたけど…。



「何か当たった気がする程度だった」

「…そ、そうなんですか?」

「千雪は握力無いからじゃないか」


そ…そんなことないです!


そうは思ったけど。ちょっと気になって、携帯を取り出す。



検索画面を開き、入力。


『握力 女の子 平均ってどれぐらい?』
…こんな感じかな。


一番上に出てきた項目をタップ。


────…ッ!?



「危ない」



吃驚して立ち上がろうとしたのを止められた。


「どうした?」

「あ、あの…私…握力小さかったです…」

「………は?」


私の握力は、平均より低かった。大体小学5年生から6年生の平均握力よりも下でした。


どうして高校生の平均が20なんですか?
どうしたらそんなに握力増えるのでしょうか…!



「この腕じゃ無理だろ」



手首を掴まれた。
仁くんの手が余るぐらい余裕がある。


「…ちゃんと食べてるのか?」


「た…食べてます!朝昼晩!ちゃんと!」


「…ケーキ一個食べれなかったのにか?」


「た、食べてます…」


「結局俺がほとんど食べたろ。全部一口ずつしか食べてなかっただろ」


「あ、甘かったので…」


「昼もから揚げ一個とおにぎり一個食べて終わりだろ。あれで食べたに入るのか?」


「…た、食べてます。こまめに」


「残さずか?」


「……お、お腹いっぱいなので」



食べれない時は朔也くんが食べてくれるので…。