白雪姫は寵愛されている【完】


「白雪姫、なんて美しい名前なんだ」


颯太くんの前で跪く。
ここで手の甲にキス…をする。


恥ずかしいけど、やらないと。


朔也くんにするみたいに…優しく。



チュ、



「お、王子様。おやめになって」



お姫様と思えないような低い声と引きつった話し方。



「ぼ、僕は本気であなたを好きになりました。どうか…ここでずっと、一緒に暮らしていただけませんか?」



明らかに見上げている私が、颯太くんの腰に手を回した。



うー…首が痛いー…。



「っ…、俺…じゃなくて。私もあなたの事を好きになってしまいまして…好きになったのでー…えっと。しかし、私はあなたとは…えっと、身分が違う…少し?違うのです?」



ちょっとセリフ違うけど。
続けていいかな。


次壁ドンというものをしないといけない。


颯太くんの体を押す。
……動かない。


もう一度押す…が、ピクリとも動かない。



「…どうした?白藤?」



小声の颯太くん。
どうやら忘れてしまったらしい。


「次は颯太くんが壁に行くんだよ?」


颯太くんから「あっ、」って声がした。


もう一度押すと、今度は後ろに下がってくれる。


「おわっ!!?」

「きゃあ!?!」



突然バランスを崩す颯太くん。私も押すのに必死だったから、釣られるように倒れた。