きっと沢山覚えようと頑張ってくれたんだ。
「…ごめんね。私のせいで」
本当はするつもりなかっただろうに…。
颯太くんが歯を見せて笑い、頭に手が乗った。
「なんだよぉ~!俺意外と楽しいぜ!だから謝んなって!」
「わわっ!」
わしゃわしゃと髪を撫でられた。
ぐちゃぐちゃになった後の髪の毛を整える。
「二人で少しやってみるかー!」
そう言って立ち上がった颯太くん。
手を引かれ、反動で立ち上がる。
「動きも付けよーぜ」
「う、うん。頑張るね」
先生お手製の白雪姫のストーリーはほぼ一緒。
白雪姫の美しさに嫉妬した継母に殺されかけ、森に逃げ込んだ。その後に見つけるのは小人の小屋…ではなく、王子様の別荘だった。そこで王子様と出会い、恋に落ちた。
白雪姫が生きていると魔法の鏡に教えられ怒った継母は、王子様が国に一次的に帰る頃を見計らい、老婆の姿で毒リンゴをお姫様に渡す。
白雪姫は一口かじるとその場で倒れた。
予定よりも早く帰って来た王子様に見つかった老婆は捕らえ、王子様の手で裁かれる。だけど白雪姫は眠ったまま。
嘆いた王子様は、何年も眠ったままのお姫様の傍にいたが、ついに決心する。ガラス職人によって作られた美しいガラスの棺桶を作り、その中にお姫様の体を寝かせ、お別れのキスをした。
それでもお姫様は目覚めず、王子様は涙を流す。それはお姫様の唇に落ちた。
───────そして、お姫様が目覚める。
何故、キスだけで目覚めないのか。
先生曰く…
「キスだけで全てうまくいくわけがない。だからこそ、感情で目覚めさせるのがいい。みんなキスで目覚めると思ってるから、驚くぞ~~!」
とのこと。


