白雪姫は寵愛されている【完】


次の日から放課後は倉庫へ行かず、二人で練習することになった。

先生に居残りで、と言われ仕方なく。


それについて仁くんが先生にクレームを入れようとしていたけれど、難波先輩に止められて何とか練習に集中出来ていた。



先生の作った半分オリジナルの白雪姫。



「な、なんと美しい人なのでしょー」


「まー、王子様。うれしーわー?」



………言わずもがな悲惨な状態です。
こんな状態で上手くいくのでしょうか?


演劇経験ゼロな私達。
分かっているはずの先生が、


「棒読みではなく!感情豊かに!」や「あたふたするな!そこは王子である白藤が抱き寄せるんだ!」


などと言って来るのはどうしてだろう。まず身長と体格からして抱き寄せるのは、無理だと分かっているのだろうか?



「くっそぉぉ!わかんねー!」

「け、結構大変なんだね…」



体力のない私と記憶力がない颯太くん。
そのせいで練習も難航していた。


「今日は会議だから、二人で練習しておくように!」


私達を残し先生は教室を出て行った。

座りながらブツブツ読み上げる颯太くんの隣にしゃがんだ。



「…おばあさん、こんにちわ。みかんをくれ…じゃなくて。美味しそうなリンゴね…。みかんの方美味いに決まってんのに、なんでリンゴなんだよ」



台本がぐちゃぐちゃになってる。蛍光ペンで引かれてる部分もあるから、相当見ているのが分かる。