白雪姫は寵愛されている【完】



お昼休み。



私のお弁当を囲むのは仁くんと難波先輩と颯太くんの四人。
昴くんは先生に呼ばれたらしいので今日は居ません。



「───────…で?颯太が姫役になったのか?」



難波先輩が珍しく起きていた。いつもなら正面に居るのに、何故か今日は仁くんと難波先輩に挟まれてる。その正面に居るのが颯太くん。


「おう!俺が姫だ!」

「「ブッ…!」」


自慢げにいった颯太くんに二人は同時に吹いた。


「何がおかしいんすか!」

「いや…ブッ、おかしいだろ…お前が姫…ブフッ!」

「そう、か…千雪を守るために…でも姫…フハッ、」


ゲラゲラと笑う難波先輩と口を押えて笑う仁くん。二人共なんだか楽しそう。



「千雪は?王子、なのか?」



仁くんが言った。


「は…はい」


…私も笑われそう。
王子なんて…仮に姫役でも笑われそうだけど。



「千雪ちゃんのドレス、見たかったなぁ~」



難波先輩の手が頭に乗った。


「に、似合いません」

「千雪ちゃんが?んな訳ないだろ。似合うに決まってる。…綺麗だろうなぁ」

「そ…そんな事あり得ません…!」


俯く私の顔を覗き込む難波先輩がいる。避けても避けても、私を見てくる。瞬発力では私は下。先輩にとっては余裕なんだろう。




「…千雪で遊ぶな」




身体が浮いて、仁くんの膝に座った。


っ……!!



「…悪い悪い。可愛くてつい」

「千雪は俺のだ」



………恥ずかしい。


変にドキドキしていて凄く熱い。



「千雪」

「…は、はい」


仁くんが私の手を取った。
そのまま手の甲に唇を付ける。



「颯太ばっか見てるなよ」


「っっ……は、はぃ…」



赤くなる顔を私は止めることが出来なかった。