颯太くんは鋭い視線を学級委員に向けた。
焦る表情の学級委員は颯太くんと、別の男子生徒を交互に見ていた。
「そ、颯太様には別の…」
「は?別ってなんだよ。さっき始まったばっかで、なんでもう決まってんだ?」
「そ、それは…その…、」
涙目になってる。だって颯太くんが凄い怖いオーラを出してるから。
先生は複雑そうな表情だった。
颯太くんは格好いい。
女装もきっと似合うだろう。
だけど朱雀の幹部。
問題を起こしたらボーナスどころか減給になるかもしれない。
そうは思っているけれど、颯太くんの威圧感に目を泳がせていた。
「…颯太くん…」
隣の颯太くんの制服袖をつんつんと引っ張る。
「無理…しないで?」
最初に颯太くんに会った時に言われた言葉が過る。
”文月颯太!白藤を命に代えて!御守りするっす!”
笑ってしまうような言葉だったけど嬉しかった。
でも…私のせいで不自由になるのだけは……。
颯太くんは私に微笑んだ後で、前を向いた。
「俺がする事に文句あんのか?あ゛?」
───────沈黙。
誰も何も言わない。
「誰もいねーじゃねーか。俺でいいだろ」
「っっ…、は…はい…」
学級委員は涙ながらに頷いた。


