…言わなきゃ。嫌だって。
ちゃんと自分の意思を伝えないと。
「あ、あの…、」
「うっわ。それ面白そ~」
そう言ったのは前の方に居た男子生徒。
ニヤニヤと笑っている。
っっ……言わなきゃ…ちゃんと。
分かってる。分かっているのに…。
───────声が出ない。
「わ、分かった。分かった。それじゃあ推薦もあった事だし、白藤…いいな?」
その目は「やりたくないと言いなさい。」そう言っているように思えた。
頷く事も出来ずに俯く私。
そんな私を無視して、
「では、王子役は決定します」
黒板に書かれた”白藤”の文字。
「次に姫役については…、」
…どうしよう。
私…王子役なんて。
絶対上手くいかないよ。
「───────俺がやる」
全員の視線が私の隣の席へ向かう。
「っ…、そう、たくん?」
机に突っ伏しながら、手だけが上がってる。
女生徒も男子生徒も寝てると思ってたのだろう。
その声と行動に目が飛び出るぐらい吃驚してた。
そして、起き上がり背伸びする。
「聞こえなかったか?俺がやるって言ったんだけど?」


