白雪姫は寵愛されている【完】




「───────では、学園祭の出し物を決めていきたいと思います」



そろそろ学園祭の準備期間に入る。

青蘭学園では学園祭は莫大な費用を使い盛大に行う。学校を宣伝するのに打ってつけの機会でもあるから。



黒板に次々と書かれる出し物達。

焼きそば
たこ焼き
メイド喫茶、などなど。

とりあえず候補を何個も出しているという状況。



「…ってことで。出し物は劇になりました」



眼鏡をかけた女子学級委員が”劇”と書かれた部分に丸を書いた。



理由は簡単。


演劇部顧問の担任が凄くそれを推したから。
内容は”男女逆転の白雪姫”にしよう、となった。

これも先生が目をキラキラさせて言ったから決まった。


……ふふ。それにしても白雪姫って。
なんだか私の名前を呼ばれているみたいで不思議。



「それでは王子役は────…、」

「はい!」



一人の女生徒が手を上げた。
指名されて立ち上がる。


今…目が合ったような?




「白藤さんを指名します」




………え??




思考停止した私。構わずその女生徒の後ろから声がする。



「はーい!賛成です!」

「わたしもさんせーい!」

「ま、まちなさい!」



流石の担任もオドオドしながら立ち上がる。先生が焦るのには理由があった。

もし学園祭での評価が高ければ、先生には臨時でボーナスが入るようになっている。それなのに、私が”王子役”なんて言われて驚いたに違いない。



「せんせぇって、もしかして白藤さんの事遠回しに、だめっていってるのぉ~?」

「えー!先生さいてぇ~!」

「そ、そういう意味じゃ……!!」



クスクスと笑い声が聞こえる。